− 嫌がらせ − |
一夜明けて、ひと時の休養をし、ビーンズ王国へ向かうジョンにターミーが言った。
「ジョン、大変じゃが急いで皆に追いつき、ジャックとアニーの事を知らせてくれ。タタミ王国の戦士たちをよろしく頼む。」
「分かりました、ターミー様。それからチャン、ゴン、トン、カオリ様を頼みます。くれぐれも突飛な行動をされませんように。カオリ様、この王国を守るのは貴方の義務です。王国の皆を不安な思いをさせないように…」
そう言うとジョンは馬にのった。
「ジョン気をつけてね。パパとママをよろしくお願いします。」
「カオリ様、お任せ下さい。それでは行ってまいります。」
ジョンは馬を走らせた。カオリ達はジョンの姿が見えなくなるまで見送った。
朝早くから、ソラは朝食の支度をしていた。
「おはよう〜ソラ。」
「おはようピース、目が覚めたんだね。他のみんなも起こしてきて。」
「分かったよ」
皆の眠るテントの中を覗くように見回した。
「ピース君おはよう。」
「おはようウラン君、起きてたんだね。」
ウランが横に寝ているオモテの体を揺らした。
「オモテ、朝だよ起きて。」
オモテは薄目を開けてウランを見た。
「まだ眠いよ。」
オモテはハッと気づいて起き上がり言った。
「そう、僕はビーンズ王国へ行くんだ。」
辺りを見回し横にいる起きたばかりのジュウとラグの姿も確認した。
「オモテ、僕は先に外でているよ。」 |
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ウランはピースと一緒に外へ出た。ソラはまだ朝食の用意をしている。
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「ちょっと森の中へ入ってみようよ。」
あまり行動的ではないウランが、珍しく誘ってきた。
「いいよ。でも森の中は薄暗いし大丈夫かな?」
ピースが言った。 |
「朝だし、明るくなって来てるから大丈夫じゃないかな。」
ウランは枝をよけ、森の中へ入っていった。
「ピース君、小鳥の声が聞こえるよ。」
ピースもはカサカサと森の中へ入っていった。
朝もやが少しずつ引いてくる中、鳥を追いかけた。
すると突然、マントに包まれた二人の姿が、ガサガサと木の影から現れた。
「ピース君あれ。」
ウランはピースの腕をつかんだ。
「どうしたの?」
前を見て、こっちへ来るよ。
マントの二人は近くまで来ると、大きい方のマントが大声で、
「お前達、ビーンズ王国へは行くんじゃない。すぐにタタミ王国へ帰えるんだ。袖からナイフをちらつかせながら言った。」
「お前たちは誰だ、何でそんな事を言う?」
ウランが叫んだ。
「何で?お前たちが行ったところでどうにもならないさ。怖いだろ?逃げ出したいんじゃないかい、死んじゃうかもしれないぞ。」
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「なにを訳のわからないことを言うんだ。」
ピースが叫んだ。
もう一人のマントが言った。
「二人共、本当は怖くて怯えてるじゃないか。臆病者のあんた達がどうにか出来る相手じゃないんだよ。早く家にお帰り。」 |
大きいマントが持っていたナイフをいきなり投げてきた。二人の横の木にナイフが突き刺さった。
「わぁ〜何てことするんだ。」
驚いて二人は後退りをした。そして振り返ると、マントの二人は遠くに走り去って行った。ピースは後を追い掛けようとしたが、ウランが止めた。
「危ないよ、僕達二人じゃどうすること出来ないよ。皆に知らせないと。」
ピースは、何も出来なかった自分が腹立たしかった。しかも臆病者扱いされたことが更に悔しさに輪をかけた。
「ウラン君、僕達は臆病者だと思われてるんだ、悔しくないの?」
ウランはピースの顔を見て言った。
「僕は…君はまだいいよ、王子だし剣もできるじゃないか。臆病者は僕だよ。あのマントの二人が言ってることは、当たっているんだ。」
二人は無言のまま皆のもとへ戻った。
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